食満留三郎の場合 「だーいせいこう」 「…このくそったれ」 「それはもう聞きました」 いつもなら助ける立場の自分が、何でよりにもよって穴にはまってこいつに見下ろされているのか。食満留三郎の口から悪態が出るのも無理からぬ話。 張本人の綾部はひょうひょうと縁から顔をのぞかせている。 「考えたんですけど、善法寺先輩を探してるときの先輩なら、割と必死だからいけるかもしれないって。だから善法寺先輩を落とした穴の周りにたくさん掘ってみました」 「何だそれ…って、そうだ伊作…!」 当初の目的を思い出すと、こうしてはいられないのだった。危うく忘れていたけれど。 ![]() ![]() ![]() ![]() 忘れるなよ。 |