あたたかな




ね、先生。最近のオレ、変なんだ。
ちがうちがう、腹が痛いとか、熱があるとかじゃなくて、なんか、変なんだよ。
委員会行くだろ。そっするとさ、なんつーかな、かーちゃんととーちゃんが居るみたいな気がするんだ。

うん、中在家先輩がとーちゃんで、不破先輩がかーちゃん。
そしたら、二年の能勢先輩は兄ちゃんで、怪士丸は弟。
ね、変だろ。
全然血のつながりなんてないのに。中在家先輩は俺と五歳しか離れてないし、まあそうは見えないけどさ、ってこれは内緒だよ先生。怪士丸だって年下みたいに思われてるって聞いたら嫌な気分だろうし、「かーちゃん」に至っては男だし。

……オレさ、実は本当のかーちゃんととーちゃんの顔、もうよく覚えてないんだ。随分昔のことだし、オレも小っさかったしさ。
そうするとさ、この前なんか夢に見たんだよ。とーちゃんが行商から帰ってきてみやげをくれて、それをかあちゃんがうまいメシ炊いて待ってるんだけど、その顔が中在家先輩と不破先輩なの。
他の二人も居たかな、うん、多分居た。

おかしいよな。でもさ、いい夢だった。
オレ、もうずっと家族なんて考えたこともなかったから、変だなって思っても、なんか、こう嬉しくなっちまうんだ。
あー、オレにも持てるんだなって。

あれ、なんで先生泣いてんの。
イヤだなあ、ヤキモチ焼かないでよ、休みのときに行くのは、先生ちだもん。
え、何、違うの。
変な先生、泣きながら笑ってる。